売上が低迷する原因は3つのみ
このサイトで連続して述べている売上の公式をおさらいしましょう。
モノやサービスが売れていないときは、売上を構成する3大要素のどこかに必ず問題が潜んでいます。言い換えるなら、売上が低迷する原因は①「訪問数」②「転換率」③「客単価」の三つしかないのです。
①の訪問数が少なければ、商品のよさを伝えることができません。たとえ最高級のダイヤモンドが10円で売られていたとしても、訪問数がゼロなら決して買われることはないのです。
十分な訪問数があったとしても、訪問した人が「ほしい」と思ってくれなければ商品は売れません。例えば、ダイヤモンドが10円で売られていても、「本物」である証拠や説明、その価値が書かれていなければ怪しさが勝り、買う人はいないでしょう。つまり、②の転換率が低いということは、商品の魅力や良さを伝えきれていないことを意味します。
訪問数や転換率が優秀で、一見めちゃめちゃ売れているような店でも、③客単価が安ければ売上は伸びません。たとえ10万人が買ってくれても、客単価が10円では売上は100万円にとどまります。これでは10万人のお客をさばく労力に見合った利益を確保するのは難しいでしょう。
業績がかんばしくない店(会社)は、この①~③のいずれか、または複数に問題があります。転換率だけが悪い店もあれば、訪問数と客単価がイマイチという店もあるし、3大要素がすべて平均以下ということもあります。
ただし、3大要素はそれぞれ独立した問題であって、「訪問数が少ないと転換率も悪くなる」、「転換率が上がると客単価も上がる」などというように互いに影響を及ぼし合うことはありません。訪問数や転換率が上がった、つまり人気が出たことによって客単価を上げられるというケースは考えられますが、それは戦略的に値上げをしているのであって、片方が上がれば自動的にもう片方も上がる、という関係ではありません。
最初に着手すべきは訪問数から
では、仮に3大要素のすべてに等しく問題があったとしたら、まずはどこから改善すべきだと思いますか?
答えは、訪問数です。
ネットでもアリルでも、開業した人が最初にぶち当たるのが、この訪問数の壁だといわれています。せっかく素敵な商品やおいしい料理を用意したのに、そもそも人が来てくれないという状態です。この状態で転換率や客単価を気にしても意味がないので、訪問数が目標に達していない場合は、まずは広告を出してお店の存在をPRするといった対策が必要になります。
ある程度の訪問数を確保できるようになったら、次は転換率の改善に着手しましょう。転換率は、着手する順番としては2番目ですが、重要度でいえば3大要素のうち断トツの1位です。費用対効果もいいので、転換率は貪欲に高めていきましょう。
客単価は、3大要素のなかでは比較的些末な問題といえます。
そもそもモノの値段には相場があるので、大間違いのしようがない。例えばコーヒーならせいぜい1杯100円~2000円の範囲で提供するものであって、いきなり10円とか1万円とかいう極端な値段をつけようという発想は、よほどの勝算がない限り生まれにくいでしょう。ですから客単価について考えるのは、訪問数と転換率の問題を解決してからでも大丈夫です。
なお、3大要素以外の要因として「商品そのものの品質に問題があるのでは?」と考える人が多いようですが、第1章でも述べたとおり、モノやサービスは実際に買って使ってみるまでは、本当の良し悪しはわかりません。ネットでもリアルでも、消費者は実際の品質ではなく「イメージ」で買うかどうかを決めています。そして、その「イメージ」が正しく伝わっているかどうかは、訪問数や転換率を分析することで明らかになるのです。