Webの裏側

ネットショップに投じる広告費と相場、バランスの良い広告運用ノウハウは?

「あの企画」に広告費は「どれくらい」「何に」使われているのか?

ネットや新聞・雑誌を見ていると、同じ広告をやたら見かけることがあります。「こんなに広告をバンバン出してモトは取れているのか!?」と他人事ながら心配になるかもしれませんが、よく注意して観察すると、その手の広告は「ジャンル」が偏っていることに気づくと思います。

よく広告を出しているジャンルの筆頭が「サプリメント」です。サプリメントは原価が安く、特にプライベートブランドのものは原価が10%以下ということも多いため、莫大な広告費をかけてブランディングをしても余裕で元が取れるというからくりがあります。

原価率の低いサプリメントは、ネットショップでも巨額の広告費を投じる手法が多い

サプリメント以外でも、メーカーの型番商品ではないプライベートブランド商品は総じて原価が低く、かつ、その商品を自分の店でしか扱わない場合は価格競争に巻き込まれることもないため、広告にたっぷりお金をかけられます。そのため、無名の小さなショップが月1000万~3000万円ほど広告費を使うこともめずらしくありません。

とはいえ、そうしたショップにとっては広告が命綱ですから、無計画にじゃんじゃん広告を出しているわけではなく、投資先は費用対効果をシビアに計算した上で決めています。

楽天市場の広告相場教えます!

彼らが月1000万円の広告予算をどのように分配しているか、楽天市場を例に説明します。楽天市場のトップページを開くと、上段の一番目立つ場所に「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」など、そのときの目玉イベントのバナーが表示されます。バナーをクリックすると、その時間の注目アイテムがずらりと並ぶのですが、これらはすべて広告になります。

広告料は曜日や時間帯によって変動しますが、ページ最上部に記載される「超目玉枠」が6時間で30万円、ページ中部の「目玉枠」が6時間で15万円、ページ下部の「基本枠」が6時間で8万円くらいです。このほか、ユーザがジャンルを絞り込んで検索したときに表示される「ジャンルページ」も上部は広告になっていて、掲載料は1日10~30万円くらいになります。

広告の効果と掲載料はほぼ比例するので、1週間のセール期間中ずっと「超注目枠」に掲載しつづけて1000万円の予算を使い切ってしまうという手もなくはありません。しかし、おすすめは何といっても「分散投資」です。

例えば1日目は「超目玉枠」と「基本枠」と「ジャンルページ」に広告を出して計90万円。2~7日目はずっと「目玉枠」に出し続けて▲▲万円、セール終了後は1日おきに「ジャンルページ」に広告を出して▲▲万円……というようにして1000万円の広告予算を分散して投資するのです。

広告は圧倒的に分散投資でトライ&エラーがオススメ

この方法を推奨する理由の一つは、一点集中はリスクが大きいからです。楽天市場のセール企画の場合は、過去のデータからおおよその売上が推測できるとはいえ、他の企画にお客を奪われたり、1週間後にビッグセールがあるから買い控えが起きたりと、さまざまな要因で売上やアクセス数が予想を下回ることもあり、そうなると大型の投資が無駄になってしまいます。

もう一つの理由は、広告の効果を多角的に検証するためです。例えば、セール企画の「目玉枠」と通常の「ジャンルページ」の両方に広告を出してみたら、多くのユーザの目に留まる「目玉枠」よりも、少人数ながら買い物の目的がはっきりしたユーザが見る「ジャンルページ」の方が効果が高かったということになれば、次回からは「ジャンルページ」への出稿を増やしていこう、といった判断が可能になります。

実は、このように「検証できる」という点が、ネット広告の最大のメリットでもあります。雑誌や新聞の広告だと、どんな属性の人が、どれだけの人数、いつ、どのタイミングでその広告を見たのか、推測することはできても細かく検証することはほぼ不可能です。このことは、プライベートブランドのサプリメントのように「広告費をいかに効果的に投じるか」がビジネスの核になっている企業にとっては致命的なデメリットといえます。その点、ネット広告は多くの場合、広告がクリックされた回数、広告経由での売上、転換率などがリアルタイムでわかるので、どの広告の効果が高くて、どの広告がダメだったのか正確に検証できるのです。

ネットと雑誌の両方に広告を出してみて、最初は雑誌のほうが反響があったとしても、ネット広告のほうは効果検証を重ねてどんどんブラッシュアップしていくことができます。そのため、ほとんどの場合、最終的にはネット広告のほうが費用対効果がよくなるのです。


「4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術」元楽天プロューサーの語る売る技術のノウハウが1冊の本になりました!

本の情報をチェック!