Webの裏側

ネットショッピングでは写真とデザインで全てが決まる!画像で見せる広告テクニック

イメージに勝るものはない

本書で何度か言及しているとおり、人がモノを買うときは「コスパがいいから買おう」「機能が優れているからほしい」などと論理的に判断するのではなく、「なんとなくお得そう」「便利そう」「おいしそう」「似合いそう」「痩せられそう」という感情やイメージで買うかどうかを決めています。だから売る側としては、消費者に「~~そう」というよいイメージを抱かせることが最重要になります。その視点が抜けていると、どんなに多くの説明を費やそうが、まず売れません。イメージが命なのです。

ネットでの購買は、ほぼ「写真」と「イメージ」で決まってくる

ネットショップの場合、ユーザがどんなイメージを持つかは「写真」と「デザイン」でほぼ決まります。「半額」や「限定〇個」といったパワーワードも効果的ではありますが、割合でいえば、写真とデザインで8割が決まり、文字の効果は残り2割といったところです。

私はある時期、「売れる店が売れる理由」よりも「売れない店が売れない理由」を知りたいと思い、ひたすら売れていない店のページを見ていました。楽天にはビッグデータから導き出された成功パターンがあり、各ショップにはその成功パターンに沿った売り方を提案しているため、極端に売れない店というのは少ないのですが、なかにはいつまでたっても(新規出店後の最初の目標である)月商100万円に届かない店もあります。

そうした「売れない店」のページを見続けてわかったのは、とにかく「説明」が多いということです。どの店もほぼ例外なく、商品がどれだけ優れているのか、機能が充実しているのかを、延々と文字で説明しているのです。

雑誌や新聞の広告ならそれでも通用するのかもしれませんが、Webというのはとにかく「人が文字を読まないメディア」であることがわかっています。普段は活字が好きな人でも、Web上で長文を読みたいとは思いません。たとえ書籍のように活字好きの人をターゲットとした商品であっても、文字の量は最小限に抑え、写真とデザインで見せるほうがずっと効果的なのです。

広告画像では、イメージを抱かせるのが真の目的

売れている店はそのあたりをよくわかっているので、商品の魅力を理詰めで説明することは絶対にありません。うまい写真を多用し、文章は必要最小限にとどめ、「なんとなくよさそう」というイメージを抱かせることを最優先しています。

同じように広告も、1枚の画像にどれだけ「よさそう」な要素を詰め込めるかが勝負になります。

例えば女性向けファッションなら、商品単体を写すのではなく、モデルに着用させて「着用感」がわかる画像にすることが重要です。具体的なテクニックはアイテムによって多少異なりますが、ワンピースなら「着丈がわかるように全身を写す」「小物や靴とコーディネートしたときの雰囲気を伝える」「カラーバリエーションがある場合は、それがわかるように画面の端に色の一覧を載せる」といった要素を1枚の画像で表現できれば、クリック率は飛躍的に高まります。

楽天で検索した際に上位表示される、効果の高い画像のサンプル

楽天市場でも、1枚の画像にこうした情報がぎゅっと詰め込まれた広告は効果が高く、クリック数が平均より20~30倍にアップするというデータもあります。

ちなみに、高級ブランドは別として、プチプラな価格帯のファッション用品を売る場合は、スタイル抜群の外国人モデルよりも等身大の日本人モデルを使ったほうがより「着用感」が伝わるため、売れ行きがよくなる傾向にあります。

このように、消費者が商品にどんなイメージを持つかは「写真」と「デザイン」に大きく左右されるため、商品写真の撮影やページのデザインは、プロのカメラマンやデザイナーに頼むのが大原則です。

ところが、社内に写真やデザインが好きな社員がいたりすると、節約のために内製してしまうケースも散見されます。「わざわざお金を払って外注しなくても、自分たちで作っても変わらないだろう」という判断なのでしょうが、プロと素人とでは、やはり技術や視点がまったく違います。

素人が撮影・デザインした画像というのは、うまくまとまっているようで、消費者の意識にまったく刺さらない。製作費をケチって失敗するのは、楽天市場の売れていない店によくあるパターンです。反対に、売れている店はほぼ100%プロのカメラマンとデザイナーを使っています。

売れるサイト構築がしたいなら絶対にプロのカメラマンとデザイナーに依頼すべき

楽天市場のようなショッピングモールに出店するときだけではなく、自社のECサイトを作るときも同じことがいえます。むしろ自社サイトのほうが自分たちの好き勝手にできる分、自己満足におちいりがちなので注意が必要です。

ネットショッピングで陥りがちな罠

ECサイトをデザインする際にもっとも意識してほしいのは、コーポレートサイトとは違い、モノやサービスを売ることが一番の目的だということです。だからトップの一番目立つ場所には、会社の紹介などではなく商品へのリンクを貼るのがいいでしょう。

この場合、画像を何枚か並べて順に表示させる「スライダー」よりは、シンプルに「バナー」を採用することをおすすめします。スライダーは見栄えはいいものの、2枚目以降は著しく効果が下がり、3、4枚目になるとほとんど効果がなくなってしまいます。それくらいなら、素直に大きめのバナーを貼ったほうが、クリックされる確率は格段に高まります。

スライダーバナーは、2枚目3枚目の効果が悪い傾向にある事がビッグデータから分かっている。

バナーの目的はクリックさせることであって、その場で読ませることではありません。だからバナーにはくどくど説明を入れず、「なんとなくよさそう」というイメージを与えられるような画像とキャッチコピーで構成するようにしましょう。

「4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術」元楽天プロューサーの語る売る技術のノウハウが1冊の本になりました!

本の情報をチェック!