世の中の常識は日々更新されています。「数年前のデータではこうだった」というものが、今はまったく通用しないということもめずらしくありません。
ネットでおせちが億単位で売れる時代
身近な例では、お正月のおせち料理をネットで買うというのも、数年前まではありえないことでした。おせちは家庭で手作りするか、買うのであればせめてデパートや地元の有名店でなければ、という意識を持っている人が多かったからです。ところが今や、おせちは楽天市場における年末の超売れ筋アイテムで、人気店のおせちは毎年完売御礼になるほどです。
このように、4000万人の購買データは人々の意識の変化をいち早く浮き彫りにし、時代が新たな局面に入ったことを知らせてくれるのです。
これだけ使えばいい!売上の絶対公式
売上=訪問数×転換率(コンバージョン)×客単価
「すぐ売る技術」のテーマは、データを活用して「売上」をアップさせることです。そのためには、
①売上を構成する3大要素のデータを集め、
②公式に当てはめて分析する、
というステップが必要になります。
ネットショップかリアル店舗かを問わず、売上は次のような公式で求めることができます。
売上=訪問数×転換率(コンバージョン)×客単価
各要素について簡単に説明すると、訪問数とは、店を訪れて商品を見てくれたお客の数を指します。ネットショップならそのショップにアクセスした人数、リアル店舗なら実際に店に足を踏み入れた人をカウントします。
転換率とは、商品を見たお客(訪問数)のうち何人が買ってくれたかという確率で、100人のうち3人が購入したなら転換率は3%(0・03)になります。飲食店の場合は、店に入った人はほぼ全員が注文するでしょうから、ここは100%(1・0)とみなしてかまいません。
客単価は、お客が払う平均単価のことです。3人のお客のうち1人が3000円、1人が5000円、1人が7000円使ったとすると、客単価は、
(3000+5000+7000)÷3=5000円
となります。
ですから、例えばある日の訪問数が100人、そのうち実際に商品を購入した人が5人(転換率5%)、客単価が3000円だとすると、その日の売上は
100×0・05×3000=1万5000円
ということがわかります。
「わざわざそんな公式を持ち出さなくても、その日に売れた金額を合計すれば売上なんてすぐにわかるじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。
たしかに、それはそのとおりなのですが、この公式を使う目的は売上がいくらになったかを計算することではありません。その店の「強み」と「弱み」をハッキリとさせるための公式なのです。
やや極端な例を挙げて説明すると……
<A店>
訪問数100人、転換率5%(0・05)、客単価3000円=売上1万5000円
<B店>
訪問数2名×転換率50%(0・5)×客単価1万5000円=売上1万5000円
どうでしょう。A店とB店の売上はどちらも1万5000円ですが、その内訳はまるで異なります。
A店が良くも悪くも平均的であるのに対して、B店ではごく少数のお客が高確率で高価な商品を買っています。また、A店では翌日も同じくらいの売上を見込めそうですが、偏った商売をしているB店の売上は予測しにくく、ゼロになっても倍増してもおかしくありません。
つまり売上を構成する要因は大まかに3つのみ!
このように、売上をドンブリ勘定で把握するのではなく「訪問数」「転換率」「客単価」の〝3大要素〟に分解して考えてみると、その店が抱える問題点や、今なすべき対策が見えてきます。訪問数が少ないなら訪問数を増やすための、転換率が悪いなら転換率を高めるための、客単価が低いなら客単価を上げるための施策が必要というわけです。
公式に当てはめて分析すれば自明のことなのに、実際にこのことを理解して経営に役立てている店(会社)は決して多くありません。たいていの「売れていない店」は、そもそもの訪問数が少ないのに客単価を上げようと四苦八苦するなど、まるで見当違いの努力をしているのです。
会社の商品を売って営業成績を上げる場合も同じです。
売上=訪問数×成約率×単価 ネットで売るにしてもリアルで売るにしても、公式に当てはめて考えることで、必ず成功への対策が見えてくるのです。