楽天でのROASの目安は150~250%になること
「売れる店」づくりの第一歩は訪問数を増やすことであり、そのためには広告を打って店や商品の存在を周知させることも必要になります。特にネットショップの訪問数は、広告に大きく左右されます。
とはいえ、いくら訪問数を増やすことに成功したとしても、広告費が利益を上回っては赤字なので意味がありません。広告を打つ際は、費用対効果をきちんと意識しながら予算を組む必要があります。
例えば、楽天市場に出店している店舗の場合は、広告費のROASの目安は150%〜250%を目指しましょう。この数値を保てていれば、楽天市場内ではかなり上位に入ります。
楽天市場の効果の悪い広告の平均値は100%を下回る事が多いですから、100%を超えてやっと最低ラインを超えたと思ってください。
そしてこのROASは、CPOという指標と抱き合わせて見る事で、より効果を発揮します。
初心者はたった2つの広告指標を覚えなさい!
では、この2つの指標に関して詳しく見ていきましょう。
ROAS(ロアス/Return On Advertising Spend)と
CPO(シー・ピー・オー/Cost Per Order)です。
ROAS=広告による売上÷広告費×100(%)
CPO=広告費÷注文件数(円)
という計算式になります。
①ROASの見方と目安
ROASは「売上を広告費で割ったもの」であり、高ければ高いほど広告費を多く回収できた、つまり広告が成功したということになります。
例えば、売上と広告費がどちらも100万円だったとすると、ROASは100万÷100万×100=100%になります。原価などを考えるとこれでは赤字ですから、どう考えても広告費のかけすぎということになります。
100万円の広告費を回収するには、最低でも150万円は売上がほしいところです。この場合、ROASは150万÷100万×100で150%――ようやく利益が出始めるかなというギリギリの合格ラインです。
このように、ROASが150%以下の場合は赤字になってしまう可能性が高いため、楽天市場では150~250%を目指すべき基準値としています。例えるなら、ROASが150%なら偏差値50(平均程度)、ROASが250なら偏差値75(超優秀)という感じです。
150%くらいなら余裕で達成できるだろうと思われるかもしれませんが、実は、楽天でもROASが150%を上回っている店舗は半数以下で、中には100%を切ってしまうこともあります。その一方、ROASが700%を超える店舗もあります。
この場合、両者の明暗を分けるのは、商品ではなく広告のデザインや投入時期です。ROASの数値には、広告戦略のうまい、へたが如実にあらわれるのです。
②CPOの見方とROASとの比較
CPOは「1件の注文を獲得するためにかかった広告費」をあらわします。ROASとは違い、商品の値段によって数値が大きく違ってくるため、いちがいに「何円くらいがベスト」とはいえません。1オーダー数百円のものを売るならCPOも低く抑える必要がありますが、クルマや不動産のように1オーダー数百万、数千万円の商材を扱う場合は、CPOも数十万、数百万円に跳ね上がることもあります。
CPOは、それ単体で見るよりも、ROASとセットで見ることで、広告戦略の成否をより正確に評価できます。
具体例を挙げて説明すると……
広告費200万円
注文数200件
客単価2万円
売上=200件×2万=400万円
このケースでは、ROASは400万÷200×100(%)=200%なので、かなり優秀な部類に入ります。一方、CPOは200万÷200=1万円なので、平均2万円の注文を1件獲得するために広告費が1万円かかったことになります。
2万円のうち、仮に粗利が8000円しかないのであれば、広告費が粗利を上回るため商売としては赤字です。つまり、広告としては成功しているけれど、ビジネスとしては大いに改善の余地があるということになります。
まとめ
このように、二つの指針を併用することで初めて見えてくるものがあります。順番としては、まずROASで広告の費用対効果をチェックし、その上で、CPOも計算して獲得単価の効果がきちんと出ているかどうかを確認するのが良いでしょう。特に、楽天市場出店店舗の方は、まずROAS100%の最低ラインを突破し、次にギリギリ合格ラインの150%、最後に250%超えを目指していくのが賢い戦略です。
元楽天市場プロデューサーが全てを語る「ECの教科書」
ROASや広告の詳しい情報に関しては、楽天市場Webプロデューサーとして、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンをを手掛けた著者による、楽天の広告の裏側とその実態、47倍商品が売れる見せ方などが書かれた書籍をご参考ください。
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